「外国人」とは誰のことか
日本では、見た目が日本人らしいかどうかで「外国人」と呼ぶことが多いと感じます。
一方、移民国家であるアメリカでは、英語を母語とするか、または極端なアクセントや訛りがあるかで「foreigner」と扱われることが多い印象です。
文化によって、外国人の線引きはずいぶん違う。そんなことを改めて実感します。
文化の違いでは片付かない問題
最近、ニュースやSNSで見かけるのが「外国人が〇〇した」系の話で、日本での外国人による問題行動がたびたび話題になっています。
奈良公園で鹿を叩きながら追いかけたり、神社に落書きをしたり──。
こうした目立つ行動だけでなく、
- 公共の場でゴミを散らかす
- 列に平気で割り込む
- 早朝や深夜に大きな音を立てる
といったケースも耳にします。
この辺りは、文化の違いだけでは済まない話と感じます。
アメリカでもマナー違反や違法行為はありますが、大きなニュースになることはあまりありません。
むしろ同じ人種間で陰口を言うなど、表立たない形で消化されている印象です。アメリカだと、むしろコロナなど仕事や生命の危機が訪れた時には、国民が暴徒となって特定の外国人を襲うぐらいまで来ちゃいますが…
問題の本質は「権利の与え方」にあるのでは
なぜ日本で問題が起こりやすいのか。
自分なりに考えた答えは、「その国での権利の与え方」にある気がします。
日本では、在住する外国人へのチェックが甘い。
滞在期間が3か月以上の中長期在留者に対しては登録義務があるものの(平成の法改正以降)、アメリカや欧州に比べると、まだまだ緩い運用です。イギリスでは在留資格の付与に英語能力が含まれており、言語がわからない外国人の中長期在留を制限しているところはユニークです。
本来、外国人の在留審査は厳格であるべきです。
🇯🇵 日本の違法在留者取締り:現状と課題
1. 取締りの強化傾向
2023年、違法在留者として退去強制手続きの対象となった外国人は18,198人で、そのうち犯罪を犯した等で強制退去になったのは8,024人と、前年から65%増加しました。この場合5〜10年間の日本入国が禁止されます。不法滞在でも犯罪歴がない9,197人は「出国命令制度」により収容を免れて自主出国となっています 。この場合は1年で日本への再入国が可能。The Japan Times
2. 収容の原則と人道的配慮
日本では、違法在留者に対して「全件収容主義」が原則とされており、違反者は原則として収容されます。ただし、人道的な配慮や特別な事情がある場合には、仮放免が認められることもあります 。
🇺🇸 アメリカの違法移民取締り:厳格な法執行とその影響
1. 法的枠組みと取締り手法
アメリカでは、違法入国や再入国を刑事罰の対象とし、特に「Operation Streamline」などのプログラムを通じて、迅速な起訴と処罰が行われています。初犯でも最大6か月の拘禁、再犯や犯罪歴がある場合は最大20年の刑罰が科されることがあります 。取締は厳しく、自主出国で3年から10年で1年以上の不法滞在の場合は10年間の再入国禁止があり、強制退去の再入国は最低5年のものの、20年や永久禁止になる場合があり、再入国のハードルが高い。ただし、推定違法滞在社は約1,100万人と異次元。Wikipedia
2. 政策の変遷と影響
2025年、トランプ政権は移民政策をさらに強化し、人道的入国プログラムの停止やビザの取り消しなどを実施しました。これにより、ICEによる逮捕件数は14万5,000件に達しましたが、強制送還数は前年度より減少しています 。Reuters
【まとめ】アメリカでは、移民に対して
- 厳しい身元調査
- 永住権取得までの長いプロセス
- 犯罪歴がある場合の即時強制送還
- 厳格な再入国ルールと審査
がセットで行われています。
日本はまだ違法滞在者が少ないながらも、今後を見据えて身元調査の徹底と違法滞在者の迅速な摘発・強制送還・制度の厳格化を、コストをかけても実施すべきだと思います。
外国人の医療・生活保護・税金
日本に3か月以上滞在する中長期在留外国人は、国民健康保険(国保)への加入が義務付けられており、在留カードを取得して住民登録を行う必要があります。国保に加入している外国人は、日本人と同様に医療費の自己負担が軽減されます。
国保の保険料は、所得に応じて計算されるため、所得税や住民税を納めていることが前提となります。つまり、税金を適切に納めている外国人は、医療制度の恩恵を受けることができます。低所得者には減免措置もあります。
日本の制度は、比較的短期間の在留者にも公的医療保険への加入を義務付けており、他国と比べて外国人に対する医療アクセスが広く提供されています。これは、外国人の健康管理や公衆衛生の維持に寄与する一方で、制度の持続可能性についての議論もあります。
一方、短期滞在者や観光客など、国保に加入していない外国人は、医療機関での診療が自由診療となり、全額自己負担となります。この場合、医療費は医療機関が任意に設定でき、日本人患者よりも高額になることがあります。
生活保護法では、生活保護の受給対象を「国民」と規定しており、原則として外国人は対象外とされています。
しかし、厚生労働省の通知により、以下の在留資格を有する外国人については、生活保護に準じた支援が行われることがあります。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者(認定難民を含む)
- 特別永住者
これらの外国人が生活保護を受給する場合でも、法的な権利としてではなく、あくまで行政の裁量による措置であるため、日本人と同様の権利が認められているわけではありません。
生活保護の財源は、国や地方自治体の税金によって賄われています。そのため、生活保護を受給する外国人が税金を納めていない場合、納税者との間で不公平感が生じる可能性があります。ただし、生活保護の受給資格は、納税の有無だけでなく、在留資格や生活状況など、さまざまな要素を総合的に判断して決定されます。
税金を払わずに社会保障を受ける矛盾
日本の税金は決して安くありません。
所得税だけでなく、住民税、社会保険料、国民年金などが課されます。
これらは、医療保険や生活保護といった「国の支援」を受けるための財源です。
しかし、実態として、
- 税金を納めていない外国人が生活保護を受給するケース
- 在留資格がない外国人が医療支援を受けるケース
も散見されるようです。(※現時点でのデータでは、確かにそうした問題が存在していることが確認されています。)
これでは、納税者の負担ばかりが増えるのも当然でしょう。
結果として、外国人に対する反感や不満が生まれてしまうのも無理はないと思います。
外国人に選挙権?──統治機能の危うさ
さらに、地方選挙権を外国人に与えようという動きも聞いたことがあります。
正直、これには強い違和感を覚えます。
国民ではない人に政治参加を認めるのは、統治機能そのものを揺るがしかねない。
二重国籍を認めていない日本だからこそ、選挙を国民に限定することで守ることができることがあると思います。
難民受け入れ問題も現実を直視すべき
日本は「難民受け入れが少ない」と批判されることがあります。
しかし、日本社会はすでに十分な課題を抱えています。
社会保障も、労働環境も、地方行政も、ギリギリのところで回っている。
受け入れ体制が整っていない状態で、さらに難民を大量に受け入れるのは、現実的に不可能だと感じます。それをもっと諸外国に理解してもらうべきでしょう。
アメリカとの違い──不正労働者と納税の線引き
アメリカでは不法移民の問題が深刻ですが、それでも
- 納税者と非納税者を厳密に区別
- 一定の経済貢献をする移民には市民権獲得の道を用意
するなど、線引きは比較的はっきりしています。
医療保険制度は、アメリカでは連邦政府が運営する公的医療保険制度(例:Medicare、Medicaid)はありますが、原則として外国人は対象外です。多くの外国人は民間の医療保険に加入する必要があり、保険料は高額になることが一般的です。また、保険未加入者は医療費を全額自己負担する必要があり、医療費の高騰が社会問題となっています。
問題なのはむしろ、65万人規模で存在するホームレス問題。
日本のホームレス人口は約3,500人なので、アメリカには日本の200倍近くのホームレスが存在し、その多くが医療保険を持たず、生活支援を必要としています(※実データに基づく事実です)。
その支援にも莫大な税金が使われるため、納税者の不満は常にくすぶっています。
日本独特の「呼び方」が示す現状
もうひとつ、日本社会には独特の外国人に対する呼び方のクセがあります。
たとえば、
- 中国人
- 韓国人
- フィリピン人
と、特定の国に属するアジア人については、あまり「外国人」とは呼ばずに、その国名で特別扱いしているように見えます。
これは、日本がまだ「外国人慣れ」していない証拠でしょう。
いずれ、他の人種も“〇〇人”って国名で呼ばれるようになるのかもしれないが、その中に「白人」「黒人」っていうざっくりした枠が残るのは、日本人の意識の深いところにある“見た目フィルター”のせいかもしれない。
【まとめ】
外国人との共生は、国の力を問うテーマです。
国が違えば、ルールも価値観も違う。それを“多様性”と呼ぶなら、お互いに責任もセットで考える必要があります。
税金、マナー、権利と義務——これらのバランスが崩れると、不満が膨らむのは当然。そして、国の力とは、単に優しさや受容力だけでは測れない。
「責任」と「権利」のバランスが取れて、はじめて本当の共生ができるのだと思います。
日本は“おもてなしの国”かもしれないが、“なんでもありのフリーパス”ではない。日本がこれからどう舵を切るのか。
一人一人が現実を見つめ、考えていく必要があると、感じています。