最近、「アメリカの国債が売られた」「利回りが上昇」といったニュースが目立っています。でもそもそも「国債って何?」という方も多いのでは?今回は「国債」についての基本と、なぜ日本や中国がアメリカの国債をたくさん持っているのか、そして今後どうなるのかまで、ざっくり解説します。
🇺🇸 アメリカの国債:誰が持ってるの?
2023年末時点で、アメリカの国債残高は約33.1兆ドル。このうち、約21%は政府内部のファンド(社会保障信託基金 = Social Security Trust Fund)などで、約79%は一般の投資家や企業、外国政府など「アメリカ政府以外の人たち」が持っています。
この政府外の70%の内訳をざっくり言うと:
- アメリカ国内の民間投資家・年金基金など:約52%
- 外国政府や国際機関(IMFなど):約29%
- 日本:約14%
- 中国:約10%
- アメリカの中央銀行(FRB):約19%
👀 え、FRBも国債を買ってるの?
はい、買ってます。コロナ以降の金融緩和政策(=お金をジャブジャブ出す政策)で、FRBは大量の国債を購入。これによって市場にお金を流し、景気を下支えしてきたんですね。
あと、米政府以外が保有するアメリカの国債の約3割は外国が保有しており、その中でも日本と中国が大きな割合を占めているのも特徴的。
🏦 アメリカの国債は外国に人気?
アメリカの国債が外国に人気なのは、以下の理由があります:
- 信頼性:アメリカは世界最大の経済大国であり、ドルは基軸通貨として広く使われています。
- 安全資産:地政学的リスクが高まると、投資家は安全な資産に資金を移します。アメリカの国債はその代表格です。
- 流動性:市場規模が大きく、売買が容易です。
そのため、外国の中央銀行や投資家は、リスクヘッジとしてアメリカの国債を保有する傾向があります。
🇯🇵 日本の国債:国内でがっちりホールド
一方、日本の国債は、2024年6月時点で以下のように保有されています:
- 日本銀行(中央銀行):約53.2%
- 外国人投資家:約13.5%
- 家計(個人):約1.3%
日本の国債の大部分は国内で保有されており、特に日本銀行が半分以上を持っています。これは、金融政策の一環として行われているものです。
🤔 アメリカはなんで自国の国債を外国に買わせてるの?
日本や中国に債権を突然売られると混乱が生じるのに、なんでアメリカは自分で債権をガッチリ持たないのか。
実は、アメリカは「ドル」を持っているだけで強い立場なんです。
- 世界中のエネルギーや貿易の決済通貨は「ドル」。
- だから、各国はドルを確保するためにアメリカ国債を買わざるを得ない。
- アメリカとしては、「自国の国債を他国が買ってくれる=タダで借金できる」に等しい。
つまり、他国に持たせてなんぼのシステムなんです。これはアメリカの”金融覇権”の象徴でもあります。
🇯🇵 日本の国債はなぜ外国に人気がないのか?
日本の国債は、なぜ外国人にあまり買われないのでしょう?
答えはシンプル:
- 利回りが低すぎる(マイナスだった時期もある)
- 円は基軸通貨じゃないので、為替リスクがある
- 発行量が多く、値上がりの期待も少ない
つまり、「あえて今、日本の国債を買うメリットがほとんどない」というのが実情です。
ただし、「日本が外国に売りたくない」というわけではなく、需要がないから外国に売れないというのが正直なところ。
🇨🇳 中国がアメリカ国債をいっぱい持ってる理由は?
中国がアメリカの国債を持っているのは、「経済戦略の一部」です。
- 中国は毎年、アメリカとの貿易で巨額のドルを稼ぎます(輸出超過)。
- そのドルを何に使うか?というと、安全で、すぐ換金できて、なおかつ利息もつくアメリカ国債がベスト。
- さらに、中国が米国債を売るとドル安(=人民元高)になってしまい、中国製品が高くなって輸出に不利になる。だから、ドルを使って米国債を買って、人民元の価値をコントロールしているとも言えます。
🇯🇵 日本は、よりアメリカ国債をがっつり買ってる!Why?
実は中国より日本の方が多くアメリカ国債を持っているんです。えっ、なんで!?と思いますよね。
理由はいくつかありますが、ざっくり言えば:
- 日銀の超低金利政策のせいで、日本の国債は利回りがほぼゼロ。つまり、儲からない。
- 一方、アメリカの国債は3〜4%以上の利回りがある(しかもドル建て)。
- 年金基金や銀行など、利回りを求める機関投資家が米国債に殺到。
- さらに円安が進むと、外貨建て資産(=米国債)の評価額が上がるため、日本の機関投資家にとっては一石二鳥。
つまり、「自国の国債はもうお腹いっぱい。でもドルで利回りの高い、安全な債券ないかな…」と探した結果、アメリカ国債に流れてるわけです。でも円高になると、これが若干変わる可能性も?
📉 アメリカの国債が売られてるけど、国債が売られるとどうなる?
国債が大量に売られると、価格が下がり、利回り(=金利)が上昇します。例えば:
- 額面1万円の国債が、10年後に1万2千円になると、利回りは20%。
- これが8千円で売られると、利回りは50%に上昇。
利回りが上がると、市場全体の金利も上昇し、企業や個人の借入コストが増加。結果として、経済活動が鈍化する可能性があります。
🤨 じゃあ今、米国債ってむしろ「買い時」ってこと?
利回りが上がった今、「お得に見える」のは確かです。
でも、国際的な投資家が慎重になる理由は:
- 今後、さらに利回りが上がるかも=もっと安く買えるかも
- アメリカの財政赤字がヤバすぎて将来不安
- トランプ再登場で政策が読めない
- FRBと政権の対立で市場が不安定
つまり、今は「様子見」してる投資家が多いということ。買いたいけど、タイミングを見計らってる状態ですね。
🧠 トランプ vs中国vs パウエル:金利をめぐる攻防
トランプはここまで、強気かつ大胆な交渉術でうまく立ち回ってきた感があります。でも、予想外に中国がガチンコで応じてきたせいで、今ちょっと泥沼に足を突っ込んだ状態。
その苛立ちもあってか、FRBのパウエル議長に「金利下げろ!」と名指しで怒りをぶつける場面もあり、マーケットはザワつき、世界経済にも不安の空気が広がってしまいました。
FRBは独立した機関であり、政治的な圧力に屈することは望ましくありません。実際、トランプ大統領の発言が市場に不安を与え、株価が下落する場面もありました 。
ここから巻き返せるかどうか――まさにトランプの“腕の見せ所”。もしこの局面を逆転できたら、さすがトランプ!と再評価されるかもしれない。けど、もし失敗すれば…メディアや市場からのバッシングは間違いなし。
これすらも「すべて計算ずく」だったら、トランプはすごいですが、行き当たりばったりの気転が聞く人なのかもと思ったりもします。
💡 まとめ:国債から世界の動きが見えてくる
国債というと難しそうですが、実は「その国の信用力」と「経済の流れ」を映す鏡でもあります。
- アメリカ国債を誰がどれだけ持ってるかで、その国の経済戦略が見える。
- 日本や中国がアメリカ国債を買う理由には、それぞれの立場や通貨政策が関係している。
- 日本の国債が人気がないのも、ちゃんと理由がある。
国債の仕組みや保有状況を理解することで、経済ニュースの背景が見えてきます。特に、アメリカと日本の国債の違いを知ることで、各国の経済政策や市場の動向を読み解く手助けになって、ニュースが物語風に面白く読めます。