当時、自分が投資している株が上下に乱高下するのを見ながら、ふと「そういえば株価ってどうやって決まるんだろう?」と疑問を持ちました。その答えが自分の中で少しずつわかってきた今、当時の疑問を整理しながら、株をこれから始める人にもわかりやすいように書いてみようと思います。
きっかけは、随分昔に「Googleを買っていれば今ごろ…」という話を職場の先輩に聞いたことでした。だいぶ経ってから、当時若者や初心者に注目されはじめたRobinhoodというアプリをダウンロードして、米国株投資を始めました。
記録を見ると、少なくとも2016年7月には米国株を始めていて、その頃はちょうどLINEが上場したばかり。Facebookが上がったり下がったりしていた時期でした。ニュースで話題になるような株を最初に買っておけば、Googleのように何倍にもなって、お金持ちになれると思って胸が踊っていました。
Snapchatが上場した時もすぐに買って、ドキドキしながら株価を見守っていました。でも結局、LINEは期待外れで全然伸びず、Facebookは今ではとんでもない時価総額ですが、私は辛抱が足りずに下落に怯えて少し上がったところで売ってしまうということを繰り返していました。目の付け所は良かったんですけどね。って、この辛抱強くができないんですけどね。
そんな経験から、もっと勝つために勉強しようと思い、色々調べたことを、初心者にもわかりやすくまとめてみます。
株価ってどうやって決まるの?(基本の理解パート)
株価は、シンプルに「需要と供給」で決まります。
株は「買いたい人」と「売りたい人」がいて、初めて売買が成立します。自分がスマホでポチッと注文を入れて買いが成立するということは、地球の何処かでその値段で誰かが買っているってことですね。で、この売買が成立した“価格”が、その瞬間の株価になります。
不動産と似ていて、「この価格で売りたい」というAsking Price(売り希望価格)に対して、買い手がいないと「じゃあもう少し安くするか」と売り手が値下げして、買い手がついた価格で売買成立。それが次の株価になります。
良いニュースで爆上げする株は、買いたい人が殺到して、でも買おうとした価格で売る人がいないので、株価がどんどん上がり「このくらいなら売ってもいいかな」という人が出てくる価格にまで上がっていき、売りが出たタイミングで取引が成立します。
あたりまえですが、買いが優勢だと株価は上がり、売りが優勢だと株価は下がります。
株には「発行済株式数」というものがあり、株価 × 発行株数 = 時価総額になります。これが企業の「市場価値」みたいなものです。
大企業の株は株数も多いので、大勢の投資家が動かないと価格があまり動きません。このような株は「ボラティリティ(変動)」が低いと言われます。
株をやっているのは、個人投資家と機関投資家(大口のプロ投資家)で、機関投資家はクライアントがいて、もしクライアントの持ち株が下がると、言い訳を言わないとならないですよね。なので、世間が認める確実に勝てる方法を使い、好き嫌いで博打的な投資はしません。
また、大きなお金を動かすので、その上限があったり、一度に大量の注文を出すと価格が大きく動いてしまうため、機関投資家は何日かに分けて売買を行います。そのため、機関投資家の大きな買い注文が入ると数日かけてジワジワと株価が上がり続けることもあれば、逆に売りが続くと、「安くなったから買おう」と思っても、なかなか下げ止まらない、なんてこともあります。
個人投資家は、機関投資家のように慎重な人もいますが、個人のお金なので、好き嫌いで株を買ったり、博打的な投資をしたりする傾向が機関投資家より強いですし、知識が低い投資家もいるので、個人投資家の動きで注目される株が大きく上下したりします。
そのため、個人投資家に人気のある銘柄、たとえばテスラのような株は、大企業でも期待と不安が入り混じって、上がったり下がったりが激しくなる傾向があります。
企業の価値(理論) vs 株価(現実)
さて、ここで少し話を整理します。
株価というのは市場でついた「今この瞬間の値段」に過ぎません。でもその一方で、企業にはちゃんと理論的な価値(本質的な価値)があります。
それが、「この会社が将来どれだけ利益を出しそうか?」という期待をもとに算出されるものです。
PERとは?
そこでよく使われるのが「PER」という指標です。
これは、Price(株価)÷ Earnings(利益) の略で、「株価が利益の何年分になっているか」を表します。
たとえば、株価が1000円で、その会社が1株あたり年間100円の利益を出しているとしたら、PERは10です。「10年分の利益でその会社の価値=株価になる」つまり「利益10年分の価格でその株を買っている」ということ。
PERが低ければ割安、高ければ割高、とよく言われますが、成長期待の高い企業(たとえばAI系のスタートアップなど)は、数年後に利益が何倍にもなる可能性があるので、PERが高くても買われるってことがあります。
PERの目安はどれくらい?
よく言われるざっくりとした目安は以下の通り:
- PER 10〜15:わりと割安
- PER 20前後:普通
- PER 30以上:成長株、または割高
ただし、これはあくまで「同業種で比較した場合」に意味があります。業種によって平均PERはかなり違うので、「業界の中で高い or 低いか?」を見るのが大切です。
超注目の銘柄だと、70倍〜100倍でもまだ上がるなってこともありますが、保守的な自分にとっては、50もすぎるとビビりだします。
割引率とは?
さらに一歩進んだ考え方が、「将来の利益を今の価値に直す」という視点です。
ここで登場するのが「割引率(Discount Rate)」です。
たとえば、ある会社が5年後に1億円の利益を出すとしましょう。でも、そのお金は今すぐもらえるわけではなく、5年後にもらえるお金です。将来のお金には不確実性があるので、「将来の1億円 = 今の◯◯円」と、現在価値に直して考える必要があります。
このとき使われるのが「割引率」で、たとえば年10%の割引率なら:
- 1年後の1億円 → 今の価値に直すと約9000万円
- 5年後の1億円 → 今の価値に直すと約6200万円
というように、未来のお金は現在価値に「割り引いて」考えるのが基本です。
まとめ:理論を知っておくと、株価の動きに振り回されにくくなる
ここまでの話をまとめると:
- 株価は、買いたい人と売りたい人のバランスで日々動く
- 株価は市場の人気や雰囲気で上がったり下がったりする
- 個人投資家と機関投資家の傾向の違いに注目
- 一方で、企業の本来の価値は将来の利益で決まる
- PERは「株価が利益の何倍か?」を見る指標
- 割引率は、「未来の利益を今の価値に直す」ためのもの
基本の基本ですが、まずはここを抑えておけば保守的な戦略は建てれるし、少しだけ楽しめます。