株を持たずに利益を狙う柔軟な方法
株式投資には、「オプション取引(Option Trading)」という特殊な取引があります。
オプションは、決まった期間内に株を決まった価格で買ったり売ったりできる権利をあらかじめ購入したり、売却する投資方法です。
つまり、ある株が決まった期間後にどのくらいあがる、または下がるかを予想することで利益をだせて、実際にその株を持ってなくても良い取引です。
これだけではわかりにくいので、具体的な例で解説します。
オプションの2つの種類
🔷 コールオプション(Call Option)
ある株を決まった値段で買う権利です。将来株価が上がると予想する人が買います。
🔻 プットオプション(Put Option)
ある株を決まった値段で売る権利です。将来、株価が下がると予想する人が買います。
ちょっとややこしいですが、両方とも権利を買うのですが、コールは買う権利を買う、プットは売る権利を買うことになります。
あと、
それと、後で詳細を述べますが、1つのオプション契約は100株単位で取引されます。
オプション取引の基本のしくみ
以下をおさえておけばOK
- 実際の株ではなく、「株を買う・売る権利そのもの」にお金を払います。
- それと、オプションは通常の株と同じで、オプションを買う人がいれば、必ずオプションを売る人がいて売買が成り立ちます。
- 決まった値段で買う権利と、うる権利は、行使しなくてもいいので、予想と違ったら放棄もできます。
- ストライク価格は、権利を使うときの価格です
- 1株ごとのオプションの価格のことをプレミアムと呼びます。
- 権利は100株単位で取引されるので、1契約で最低プレミアム×100の金額になります。
具体例でイメージしよう:コールオプションを買う場合
株価:現在 $100
ストライク価格:$110
プレミアム:$0.45(1契約=$45)
期間:30日後
登場人物
- マイク:株価が$110を超えると思っている。コールオプションを買う。
- ジョン:株価は$110を超えないと思っている。コールオプションを売る。
マイクは「30日以内にこの株は$110以上になるはず!」と予想して、
ジョンから「$110で買う権利」を買います(プレミアム$45)。
このとき、次のようなシナリオが考えられます:
✅ ケース①:株価が$125に上がった!
- マイクは$110で株を買って、すぐに$125で売って $1,500 の利益。$45(プレミアム)を引くと、純利益 $1,455!
- ジョンは $45 を受け取ったが、$15の上昇分の利益チャンスを逃す。
⚠️ ケース②:株価が$110のまま
- マイクは$110ドルの株を$110.45で買うことになる。つまり、$11,000の株に対して$11,045支払ったのと同じで、プレミアム分の$45損になる。
- ジョンは $45 の利益。
❌ ケース③:株価が$100に下がった
- 110ドル以下なので、マイクは権利を使わず放棄。プレミアム$45の損失。
- ジョンは $45 をそのまま受け取って終了。
💡買い手(マイク)のリスクは、プレミアム分だけ。
失うお金があらかじめ決まっているので、大損しにくいのが特徴です。
今度は逆に:コールオプションを売る場合(ジョンの立場)
ジョンは、「株価は$110以上にはならないだろう」と予想し、
マイクに「$110で株を買う権利」を売ります(プレミアム$45を受け取る)。
ケース別まとめ:
- 株価が$110以下 → マイクは権利を使わず、ジョンが$45を丸儲け。
- 株価が$110ちょうど → マイク次第。使われればジョンは売却義務。
- 株価が$125など、大きく上昇 → ジョンは$110で株を売らされて、本来の利益を逃す(大きな機会損失)。
💡売り手の利益は「プレミアムだけ」。
だから、「株がそれ以上上がらない」と思えるときだけ売るのが基本。
【実践例】カバード・コール戦略
マイクは、ホームデポ(HD)株を持っています。
すぐに売ってもいいけど、タイミングを見てる状態。
ここでマイクは、「カバード・コール(Covered Call)」という手を使います。
これは、
- 株を持った状態で
- 売る権利(コールオプション)を売る
ことで、プレミアム収入を得ながら、株を売るチャンスをうかがう戦略です。
カバード・コールの実例
- マイクは株を$32で購入。
- ジョンは「$34で買う権利」がほしい。
- マイクはその権利を$1.50で売る。
シナリオ別で見てみましょう:
株価 | マイクの利益 | 補足 |
---|---|---|
$28 | -$4 + $1.5 = -$2.5 | プレミアム分がクッションに |
$30.5 | -$1.5 + $1.5 = ±0 | 損益ゼロがブレイクイーブン |
$32 | ±0 + $1.5 = +$1.5 | 株を持ってるだけで収益 |
$33 | +$1 + $1.5 = +$2.5 | 株価も上がって最高の展開 |
$34 | +$2 + $1.5 = +$3.5 | 売却&プレミアムで利益 |
$50 | +$2 + $1.5 = +$3.5(機会損失 $16) | 売却義務があるため、利益に上限あり |
💡株が大きく上がっても、売却価格(ストライク価格)で止まるため、
「利益の上限がある=これがカバード・コールのデメリット」。
プットオプションとは?
コールオプションの逆で、「売る権利」です。
- 株価が下がると予想したときに使います。
- 下がってから売れる権利を持てば、値下がりで利益を得られます。
例:
- 現在の株価:$45
- マイクは「株価が$40以下になる」と予想。
- ジョンから「$40で売る権利」を$0.45($45)で購入。
株価が$30まで下がった場合:
- マイクは市場で$30で株を買い、ジョンに$40で売れる。
- 差額$10 – プレミアム$0.45 = $9.55の利益!
まとめ:オプション取引のメリットと注意点
✅ メリット
- 少ない資金で株の値動きから利益を狙える
- 株を持たなくても「予想が当たれば」稼げる
- 保有株を使ったカバード・コールで収入を得られる
⚠️ 注意点
- プレミアムは戻らない(コストになる)
- 売り手側は、損失が大きくなる可能性もある
- オプションの期限切れには要注意!
💬 オプションは“予想の正しさ”を売買する道具です。
株を持っていなくても投資チャンスを増やせる武器になりますが、仕組みをしっかり理解してから活用しましょう!