■ 新規失業保険申請件数:22万7千件に減少──予想よりも堅調

アメリカ労働省が5月17日までの週に発表した新規失業保険申請件数(Initial Jobless Claims)は、前週比で2,000件減の22万7千件となり、過去4週間で最も少ない水準。
市場予想(23万件)を下回ったことと、3週連続の下落でで、景気減速への懸念は若干下がったといえる。
とはいえ、高金利と、ウォルアートをはじめとした小売価格の上昇、企業の景況感の悪化など、先行きの不透明感はまだある感じです。
■ 継続失業保険申請件数:じわりと上昇──再就職の難しさがにじむ

一方で、失業状態が続いている人の数を示す継続失業保険申請件数(Continuing Claims)は、前週より3万6千人増えて190.3万人に。市場予想(189万人)をやや上回ってます。
なので、失業者が再就職に苦戦している傾向が見られるので、企業側の雇用状況が今ひとつで、雇用数が少ない可能性はあると思います。
■ 4週移動平均:じわり上昇中──トレンドとしてはやや警戒感

週ごとのばらつきをならした4週移動平均は、前週の23万500人から23万1,500人に上昇し、約7か月ぶりの高水準に。
失業保険申請数は2週連続で減ったとは言え、その前は8週にわたって低めだったので、じわじわ上昇しているように見えている。来週も下落があれば、傾向として下がってるねって言えることになると思う。
■ 連邦政府職員の申請数が急増──DOGEの人員削減が影響か

連邦政府職員の新規失業保険申請件数は前週の438件から595件へと急増している。まぁ157人の増加だけど、通常よりも大きな動き。
これは行政効率化省(Department of Government Efficiency:DOGE)による解雇の影響で、組織再編と人員削減が原因。
連邦職員の失業保険申請数の歴代平均は約1,800人なので、それと比べると現在の水準は低い。
■ 連邦政府職員の「継続」失業件数は減少──一部では再就職も進行中?

連邦政府職員の継続失業保険申請件数は6,571人から6,386人に減少しているので、再就職に成功した元職員も一定数いた可能性あり。
歴史的に見ればこの数値は過去平均(約1万8千人)をまだ大きく下回っている。
💬 【考察】労働市場の底堅さ vs 景気減速懸念──米国株への影響は?
企業はまだ大規模なレイオフに踏み切っていないので、投資家にとって「景気はまだ崩れない=FRBも焦って利下げしない」という安心材料だけど、FRBが利下げを急がない可能性が高まって、長期金利の高止まり=株価の重荷にもなり得る。特に借り入れコストが重くのしかかる不動産関連株や、中小型株には逆風